建設業を営んでいる事業所が外国人技能実習生を受け入れるためには、前回の記事(2020/7/15更新)の要件のほかに、特別な基準が設けられています。理由としては、建設業では、従事することとなる工事によって就労場所が変わるため現場ごとの就労監理が必要となることや、季節や工事受注状況による仕事の繁閑で報酬が変動するという実態を踏まえ、実習生の適正な就労環境を確保する必要があるからです。今回は、建設業に対して設けられている特別な基準を3つ挙げていきます。
1.申請者が建設業法第3条の許可を受けていること
技能実習においても特定技能や外国人建設就労者と同様に、受入企業は建設業法第3条許可を受けていることが基準に追加されました。建設業許可を受けている事業所は、経営業務の管理責任者・専任技術者、財産的基礎等についての厳しい審査をパスしていますので、実習生が安心して建設業界で実習を行う環境が整っていると判断されることになります。
また、許可を受けた建設業の種類と技能実習の職種は、必ずしも一致している必要はありません。例を挙げると、許可を受けた建設業の種類「とび・土工・コンクリート工事」であれば、実習生の移行職種は「とび」で問題ありません。許可を受けた建設業の種類が「塗装工事」であれば実習生の移行職種は「左官」で問題ありません。
自社の業種が外国人技能実習生の移行対象職種に該当しているか不明な場合には、監理団体へ相談することをお勧めします。
2.建設キャリアアップシステムへの登録
申請者(受入企業)が建設キャリアアップシステムに登録していること、かつ外国人技能実習生を建設キャリアアップシステムに登録することが要件となります。しかし、自社で既に受け入れている実習生については、経過措置により本基準の適用外となります。
建設キャリアアップシステムの注意点としては、事業者登録の完了までに約1~3か月の期間を要するので、外国人技能実習生を受け入れを予定している事業者は速やかに手続きを行いましょう。
3.給与待遇・受入れ人数
事業所が実習生に対して適切な給与、残業代等の報酬を安定的に支払う財政的基盤が存在していることに加え、給与体系は月給制であることが要件となります。実習生の受入れ人数に関しては、その数が常勤職員の総数を超えないことが要件とされています。この常勤の職員には、技能実習生、外国人建設就労者および1号特定技能外国人は含めません。
このように、建設業の事業所には労働環境の整備、待遇、生活面の支援等の実習生に対して総合的なサポート体制が求められています。手続き等も煩雑になるので、外国人技能実習制度の導入を検討している場合は、はやめに監理団体へ相談することをお勧めします。