日本政府が打ち出している新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針にて、事業所におけるPCR検査等の実施手順が公開されました。技能実習生を含めて全職員が安心・安全に作業を行えるように、監理団体・実習実施者の方は、当該手順を参考にしつつ、積極的な感染拡大防止のための取組みを行うように努めましょう。今回は、事業所内に診療所等が所在しない場合(職場での検査実施の場合)の各対処方法について紹介していきます。
事業所内に診療所が所在しない場合(職場での検査実施の場合)
まず前提として、抗原簡易キットの使用は、医療機関の受診に代わるものではなありません。ですので、抗原簡易キットの使用によって受診が遅れることがないように注意することが必須となります。従業員が出勤後、健康観察アプリなどを通じて、体調の優れない従業員が見出された場合、医療機関を受診することが基本となりますが、直ちに受診をすることができない場合には、職場において被検者本人の同意を得て抗原簡易キットを使用することが可能となります。ただし、従業員の体調を考慮して医療機関を受診するなどの臨機応変な対応をとるようにしましょう。また、本来、抗原簡易キットは、体外診断用医薬品であるので、抗原簡易キットを使用した検査のための検体採取や結果の判定についても可能な限り医療従事者の管理下で実施することが望ましいと言えます。
利用に向けた事前準備
連携医療機関(新型コロナウイルス感染症の診療・検査及び患者の診断を行うところに限る。)と事業所とが連携し、検査実施のための体制・環境を予め整備しておくようにしましょう。もし、連携医療機関が存在しない場合は、新たに地域の医療機関と連携して対応を行うようにしましょう。また、抗原簡易キットの選定・保管・使用する場合は、あらかじめ連携医療機関から技術的助言を受けておく必要があります。
出勤前に既に症状を自覚している場合には、出勤せずに医療機関を受診することと全従業員に周知し、事業所内の有症状者が、その場で検査を実施せずとも直ちに医療機関を受診できる場合には、検査の実施を待たずに速やかに受診するように促しましょう。また、事業者は、本人の同意を得た上で検査を管理する従業員を定め、抗原簡易キット等による新型コロナウイルス感染症の抗原定性検査を実施するに当たって必要な検体の採取、判定の方法、その他の注意事項に関する研修を受けさせ、研修の受講を確認し、その名簿を作成し、保存するようにします。なお、職場に医療関係資格を有する者がいる場合には、当該従事者により検査の管理を行うことを検討するようにしましょう。次回に続きます。