日本に在留している外国人技能実習生が、社会保険の適用事業所で実習を行っている場合、 社会保険制度に加入する必要があります。今回は、この社会保険のうち、労働保険「労災保険(労働者災害補償保険)」の部分についてご紹介していきます。
労災保険(労働者災害補償保険)
労働保険とは、それぞれ別個の制度の「労働者災害補償保険(以下、労災保険)」と「雇用保険」を合わせた総称です。今回、ご紹介する労災保険とは、業務上の事由又は通勤による労働者の負傷・疾病・障害又は死亡に対して労働者やその遺族のために、必要な保険給付を行う公的制度となります。ここでいう労働者とは、事業主に雇用されている正社員のみを指しているのではなく、パートタイマーやアルバイト等も含まれています。したがって、事業主は、雇用する技能実習生に対しても、日本人労働者と同等の措置を取らなければならないのです。労災保険は原則として、労働者を一人でも雇用する事業主に加入が義務付けられています。ほかの社会保険制度と異なり、その保険料の全額を事業主が負担しなければなりません。保険料は、すべての労働者に支払う賃金総額に対して、保険料率を乗じて計算された額となり、雇用保険料と共に徴収されます。一定規模以上の事業においては、収支率に応じて労災保険率が上下する「メリット制」が導入されています。
労災保険の対象は、業務上の事由又は通勤途上に起因としたもののみが対象となるので、それ以外の負傷や疾病等を対象とした保険給付は、健康保険の制度を利用することになります。また、両者の違いとして労災保険は、療養費の自己負担が発生しないことや、休業時の手当について健康保険の傷病手当金よりも手厚い補償となっていることなどが挙げられます。次回以降は、この労働保険のうち、雇用保険制度について詳しく紹介していきます。