前回の記事でも紹介した通り、労働基準法では、継続して6月以上勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に対しては、年次有給休暇を与えなければならないと定められています。この年次有給休暇の趣旨は、労働者の心身の疲労を回復させるなどの観点から、休日のほかに毎年一定日数の有給休暇を労働者に付与することにあります。また、使用者は、労働基準法にて「年次有給休暇の付与、労働基準法令を周知する」という義務を負うことになります。
実習実施者・監理団体においては、まずは実習生に対して制度の趣旨を説明し、年次有給休暇を利用することができるような環境を形成することが第一となります。今回は、労働基準法令の周知を実践したところ、実習生とのトラブルが減少したと実習実施者からお声をいただいたので、その例を挙げていきます。ぜひ参考にしてください。
1、リーフレットの活用
OTIT(外国人技能実習機構)や厚生労働省で配布している労働基準法令のリーフレットや資料を活用しましょう。また、年次有給休暇を取得しやすいよう、取得の申出方法を母国語で丁寧に説明するほか、管理簿を作成し、各実習生の取得可能な日数を、常に把握できる状態にしておきましょう。
2、適切な技能実習計画の策定
技能実習計画は雇入れ後の年次に応じて実習時間を定めていますが、年次有給休暇を取得することを前提とした日程で計画を策定するようにします。なお、監理団体側においても、その前提で計画作成指導を行うようにしましょう。
3、入国後講習にて周知の徹底
入国後講習において労働基準関係法令を技能実習生に教授する際、リーフレットなどを活用して年次有給休暇制の周知の徹底を実施しましょう。
4、適切な監査の実施
監理団体の定期監査において、必ず実習生ごとに年次有給休暇の取得状況の確認を行うようにします。取得日数が5日未満で労働基準法違反となる場合はもちろん、年次有給休暇を付与した実績が無いなど、実習実施者が制度の内容を理解していないと考えられる場合は、実習実施者に対して必要な指導を行うようにしましょう。