これまでの記事でも紹介した通り、日本政府は、停滞した景気の回復に向けて、段階的に入国緩和政策を進めています。本年10月からは、中長期の在留資格を持つ外国人・留学生などを対象に、一定の条件を満たす場合、新規入国が認められることになりました。さらに、11月からは、中国や韓国などの11の国・地域からの入国拒否を解除し、一定の条件の下、入国を認めることを決定しました。また、訪問先などを明記した活動計画書の提出等を行えば、原則として14日間の自宅待機が免除されることになっています。その結果、本年10月の入国者数は前月より倍増して約27,000人にのぼりました。(日本政府観光局発表)しかし、この人数は、前年同月の約1%に留まっています。
現在、日本では、新型コロナウイルス感染症拡大の「第3波」が到来したと連日、報道されています。各地でクラスターが発生し、感染者数の最多記録を日々、更新しています。そのような中で、GO TOトラベルや入国緩和政策などが実施されて以降、感染者数が爆発的に増加したことで、SNSや一部の層からは、日本で発生している「第3波」は、政府が実施しているGO TOトラベルや入国制限の緩和が原因なのではないかと、推測されるようになりました。
しかし、厚生労働省や感染症専門の医師などに見解を問うと、「政府が、実施している政策についての感染拡大のリスクは、0ではないが主原因とは考えにくい。季節的なものやPCR検査の増加などの複合的な要因が重なっている。」との回答が多数を占めました。また、感染拡大の大部分が、長時間の会食などを経由しており、大人数でマスクを使用せずに会食している場面が、大変リスクが高いという結果になっています。
本サイトに掲載されている監理団体は、ベトナム人の外国人技能実習生を多く受け入れています。ベトナムでは、日本よりも感染者数が少なく、抑え込みに成功していえると言えます。しかし、タイのようにほとんど新型コロナウイルス感染症が発生していないとされている国からも、空港の検疫では陽性者が発生しているという事例もありますので、その国の独自の公表数が全てではありません。一方で、空港での検査の体制を今以上に厳格にしたとしても、潜伏期や検査の誤陰性の事例がある以上は、輸入感染のリスクは0にはなりません。各国・地域の流行状況と日本の状況を比較しつつ、今後の緩和条件や検疫体制を慎重に判断していくことが必須となるでしょう。