これまでにも紹介してきた通り、日本に在住している外国人技能実習生が、社会保険の適用事業所で実習を行っている場合には、公的年金制度(広義の社会保険)に加入する必要があります。今回は、この公的年金制度の厚生年金保険について詳しく紹介していきます。
厚生年金保険
日本の公的年金制度は、日本に住んでいる20歳以上60歳未満のすべての方が加入する「国民年金」と、会社などに勤務している方が加入する「厚生年金」の2階建て構造になっています。この厚生年金は、一部を除き全ての事業所に対して、強制的に適用される仕組みとなっていて、国民年金と同様に老齢や障害、死亡に対して給付を行っています。したがって、技能実習生に対しても、実習実施者が適用事業所である場合には、技能実習生は被保険者となりますので、公的年金制度が適用されます。そうでない場合は、国民年金の被保険者となります。
保険料については、月ごとの給与に対して定率となっており、実際に納付する額は個人で異なります。また、保険料は、実習実施機関と技能実習生とで、折半すこととなっているので、給与から必要な保険料を控除し、実習実施機関が保険料を全額納付しなければなりません。なお、技能実習生が、厚生年金の被保険者となった場合は、資格取得日から5日以内に管轄の年金事務所に対して、届出を行わなければなりませんので、監理団体・実習実施者は速やかに手続きを行うようにしてください。
技能実習生の場合、国民年金・厚生年金保険の老齢厚生年金の給付対象とはなりません。しかし、重症などを負い重い障害が残ったり、死亡した場合には、障害厚生年金又は遺族厚生年金の給付を受けることが可能です。支給にあたっての国籍要件はありませんので、海外に在住していても受けることが可能です。また、在留期間が短いことなどの事情に鑑み、国民年金、厚生年金保険共に脱退一時金の制度があり、一定の要件に該当する場合には、出国後2年以内に請求することが可能となります。